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お知らせ
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2015-10-14 08:49:54
お月見どろぼう今年も
みなさんのお住まいの地区には「お月見どろぼう」なる風習があるだろうか?
初めて聞いた時、耳を疑った。
「中秋の名月の夕方、町内の玄関先にその家人の善意で出されたお菓子を泥棒してもよい。ただし子どもに限る」
なんと!無料でお菓子をいくらでも無制限に貰えまくるという、ウハウハな、メチャクチャ心弾む素敵すぎるイベントなのだ!
私の住む愛知県名古屋市名東区大針にはあるし、隣接する愛知県日進市にもその風習はある。三重県四日市市の友人もあると言っていたので、尾張地方の風習かと思っていたら、一宮市に住む青山さんは「そんな風習、おれの子どものころからなかったよ。竹ちゃん」と言っていた。この風習の残存地域は点在しているらしい。
ちなみにこの「お月見どろぼう」、その起源をネットで調べてみると「子どもたちはお月様の使者。中秋の名月のこの日だけは、お供え物を盗んでもよい」ということだそうだ。昔多くあった「片足だけ人の畑に入って芋を盗んでも良い」「特定の日にみんなで悪さをして社会ストレスを発散していた」ということも関係ある、と言及している。なるほど。
よって農村地帯にその風習が残っているらしい。なんとも風情がある。
ちなみに私の生まれ育った大阪市阿倍野区西田辺町にはこんな素敵すぎる風習はなかった。しかし友人宅へ行き勝手に冷蔵庫を開け、冷えたヤクルトとか牛乳とかを断りもなく飲んで、ちゃぶ台にあったみかんを食べて、というのが普通だったから、毎日が「お月見どろぼう」だったと言えなくもない。風情はまったくないが。
さてお月見どろぼうに話を戻そう。
「無手勝流お菓子争奪合戦」と聞こえなくもないこのイベントだが、キチンとルールはある。
①時間帯は16:00〜18:00。
②チャリンコ(自転車)禁止。
③1つの提供家(参加宿と呼ぶ)から1つのお菓子だけ盗める。
事前にどの家が参加宿なのか目印が打たれた住宅地図が小学校で配られる。上の小5の娘など「あと2回しか参加できないから」と気合を入れて開始地点から一番効率的なルートを割り出し訪問計画を地図に記していた。まさしく飛び込み営業さながらの営業準備だ。
町内は15:30ごろからにわかに騒がしくなり熱気を帯びてくる。辻々では子どもたちの怒声が飛び交う。フライング気味に15:50くらいから走りだす子どもや自転車で巡るという子どもたちがいるのだ。当然真っ向勝負を挑もうとしている大半の子どもたちから「お前、ずるい!」「あんた、ちゃんとルール守ってね!」と大声で叱られているのだ。
そしてスタート。
子どもたちは脇目もふらず走りだす。
だからこの時間帯の車の通行はものすごく危険だ。
まあ運転者も子どもたちが目を血走らせ一目散に駆け巡っている様子を見てただごとでないふんいきを感じ取り、おおむね徐行してくれるところが、いい。
さて、今年。
中秋の名月がちょうど日曜日に重なったため、お菓子を出したり、その前で子どもたちの声を掛けたり、と一緒に楽しませてもらった。
わが家の前に出されたお菓子たち。
厳しいルールがある。ぼくは「挨拶の声がちっちゃい!」と子どもたちに声出しを強要する、感じの悪いおっさん。
息子が帰ってきた。80個はとったよ!もう汗だく。
例年「あんなに走ったら喉が乾くでしょ」という理由だと思うのだが、アクアセレクトをウォーターサーバーとともに玄関先に出していただいているお宅がある。嬉しい限りだ。
「おーい麟太郎くんのパパ〜おれ、こんなにお菓子あるぜ〜!」と自慢しに来た悪ガキたち。「おーすごい盗ったな。普段の悪ガキぶりを発揮したなぁ。ところで今日は何の日か知ってるか?」「知ってるよ。お月見の日だろ?」「さすがだなお前たち。よしちょっとお月さん見に行こうぜ」と空き地へお月見にいった。
大きなまん丸のお月様を見て一同うっとり。
夜に反省会。訪問計画を綿密に立てた小5の勝ち。猛烈に悔しがる小2。
ホントに良い風習だと思う。
歴史を知れば風情があるだけではない。芋や団子をお菓子に変え、進化し続けている風習と言っていい。
お月様をゆっくりと見るのは夜になってからでいい。そして大人になってからでいい。
いつまでも続いて欲しい地域の、そして子どもたちのための風習。