もう何年も前のことだ。

アクアセレクトの採水地である三重県大台町のとあるおばあちゃん家を訪れた時のこと。

「あんたら今ミョウガの季節やから、庭にようけ（たくさん）できてるわ。ほれこのビニル袋に好きなだけ取っておいで」

どこらへんで取れるのか、そもそもミョウガとは何をどう取ったらいいのか、当時の私はなにも知らず、ビニル袋を渡されたままその場に立ちすくみ、「そんなことも知らんのんかい」とおばあちゃんにびっくりされながら教えを乞うた。

「この季節マムシが多いからそれだけは気ぃつけーよ」の親切な一言とともに。

そんな私も家庭菜園を始め、あの時のようにビニル袋いっぱい、という訳には行かないが、それでも十分な量のミョウガを自宅アパートの庭先で作るようになった。

放ったらかしでも美味しく出来るミョウガ、重宝している。

今年もカツオのたたきにたっぷりと乗せ、そして残りはミョウガ飯にして美味しくいただいた。

ミョウガを食べ過ぎると物忘れがひどくなるなどと言われているが、いつまでも忘れたくない、あの素敵な思い出。